2009年3月28日土曜日

棟木登場

建て方工事第6日目、初日は墨付けだったので実際に作業に入ってから5日目にして最大の山場である棟木が上がった。土曜日の朝9時に現場に娘と二人で駆け付けたがすでに建築家の加々美氏は現場で打ち合わせをしていた。通し柱、2階の大黒柱はすでに昨日のうちに据え付けが終わり、あとは棟木を待つばかりの状態で作業開始。
うちの棟木は幸いというか、残念なことにというか継いである構造で約1/3と2/3に分かれている。西側部分の大黒柱に近い部分の短い方から作業に突入した。

この短い側のほうだけで約300Kg。長いほうはというと約600Kgある。長い棟木のほうでどのくらい長いかというとこのくらい。

大工一人が、最上部に上ってこの棟木をはめ込む作業を行い、もう一人が下で手伝う。掛矢(でかい槌)でがんがんと打ち込んではめ込むが地上7m近いてっぺんでこの掛矢を構えて振り下ろす作業で自分もろとも落ちてしまいそうな、危ない作業を簡単にこなすのはさすがである。命綱もつけてないしなんとも頼もしい。正直、この姿はかっこいい、の一言に尽きる。
棟木が上がると次は、内掛け梁をその棟木に掛けていく作業に入る。1本1本番付どおりに棟木に差し込んでいくが、大量の内掛け梁をどんどんとはめ込んでいく。内掛け梁と棟木、内掛け梁と軒桁との接合は、「ほぞ」で行うが「ほぞ」自身ははめ込み式になっていて具合の悪いものは全て取り換えながらの作業である。建築家の大沢さん曰く、ほぞはどうやら樫の木で出来ているらしく非常に硬い。実際触ってみると高級積み木のような手触りなので捨てずに取っておいてもらい、あとで娘の遊び道具にすることにした。



午後になって、屋根全体にわたって内掛け梁の据え付けが終わった。全体をかけ終わってみるとおおかたの蔵の全貌が明らかになってきた感じがする。感無量。

午後は更に、玄関入口の梁は据え付けられた。これは大梁の余りを使って下屋部分に持ってきたもの。玄関と書斎部分は新材で作られるので貴重な材を余すところなく使い入ってくる人にインパクトを与えようというものでもある。短い切り落としのこの大きさでも100Kgは優に超えるのでこれもクレーンを呼んだ日でしか作業ができないとのこと。

ここまで見てきてやはり、伝統工法のこの軸組みは木の特性を十分に活かしているという気がする。大沢さんによればケヤキは切ってから使うまでに20年あまり、放置して乾燥させ、外側を虫に食わせ芯だけを残し、使うらしいが実際こうして蔵の部材になる遥か昔にすでに切り落とされて待っていた木材たちがあったということに感動する。20年ということは60歳で定年して家を建てたいと思ったら、40にして山に入って木を選んで切って寝かしておかないといけないということ。

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