2009年3月26日木曜日

大工の道具、その1

最も興味があったのは大工の持つ道具と、その技、そしてその手入れである。同様に、左官のもつ道具と、その技、その手入れにも大きな興味がある。外壁や内部の壁の一部を左官仕事でお願いすることになっていて1月に、湯河原の長田左官にお邪魔して展示室を見せてもらった際に、古舞の準備をしている作業場もお邪魔した。その折、長田左官の三代目から道具を見せていただいた。

すべて自分で作る、そうだ。作るといっても鍛冶屋じゃいないので頼んで自分のいいように作ってもらうらしいが、すべて目的があっての道具である。
同様に大工もすべて持つ道具には意味があり、長い歴史がある。しかし、相当長い歴史をもつだろうと考えていたが、以前、「大工道具の歴史」という本を読んでみるとそれほどでもないらしいことも知った。江戸時代になってようやく今の大工道具に近くなって落ち着いたらしい。しかし、そうなると昔の大工はどうやって大きな家や寺社仏閣を建ててたのか、またもって不思議である。この本は、なかなかマニアックな内容で面白い、日本の木造建築がクリで始まり、杉に至る経過もよく説明されているし、鋸の発達やその構造などが詳細に述べられている。

やってきた渡部工業の大工さん四人衆もいろんな道具を持ち込んでいる。


さすがに、鑿(ノミ)はよく切れそうだ。しっかり現場には砥石が用意されているし使い込まれている。軸組み工法に欠かせない、「掛矢」(大きなハンマー)、鋸、かなづち(玄能といった伝統的な工具はもちろんだが、土台に穴をあけるための電動ドリル、そして現代の大工はレーザーレベルメーター(水準器)までを使いこなす。レーザーでやってしまえば、1mm以下の精度まで出すのはたやすいのは知ってるが、結局この日はレーザーを使わず、「振り子」の重りで柱の傾きをチェックしていた。「振りっこ」という商品名のものを持ち込んでいたが、実際、工具売場で相当な高額で売られているこの振り子には興味があった。短時間で振れが止まります、という謳い文句がどの商品にも掲げられていて、そんなに必要かなあ、と思っていたが実際の現場で見てみれば、振れが止まらないとイライラすることは間違いないので、それはイライラの対価、としての技術革新か、と思えた。粘性素材が入って振動を抑制しているのではないかな?と思われた。

今日は朝の作業途中から雨が降り出したので、あまり作業は進まなかったはず。明日は寒いながら晴れそうなので期待したい。

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