2009年6月3日水曜日

粋な大工の技

徐々に内装が進み、家らしくなってきた。仕事も忙しかったためになかなか現場に足を運ぶ機会がなかったが、しばらく行かないと進行したなあ、という気持ちになる。

外部の壁については木摺りの施工が終わった時点でいったん停止しており、左官工事が始まるではお預けになるであろう。そこで現在の工事は内装のなかでも内部の壁の工事が主たる作業になっている(ようだ)。大工さんの頭のなかで考えられている現在進行形の仕事のスケジュールは知る由もないのであくまでも憶測。

渡部工業から引き継いだ現場の大工棟梁、飯村さん率いる大工さんの集団は日によって入れ替わるものの常時3、4名が工事に携わってくれている。細かな造作をみていくと、大工の技が「きらり」と光る箇所がいくつも発見される。

「お、粋だね」と感じられるものを少々見てみたい


玄関の庇を下から見上げてみると見事な杉の板とそれを支える桁(?)が見えるが、よく見るとこの桁には節がない、「無節」という一級品の杉である。見た目がとても素敵である。


上がり框は、大梁の余った材を再利用するが、異なる木のケヤキとカツラを接合して、ちょうどうまい具合にRがあるものを上がり口に持ってきた。今は養生中のため、見ることはできない



ベランダの下を支える杉は、「焼杉」としてあつらえられた。こうすると外側が強固になるために雨にさらされることを考えても合理的でもあり、見た目もなかなかよい。そして次は内装にも焼杉を使って例である。


この材はもともと屋根の野地板だったので、もとはこのようなものだった。

これを丹念に、使えるものを抜き出し、さらに板幅が元と先ではまったく違うものをそろえてようやく使えるようにして、さらに焼加工を施してこうしてピアノの背面に来る予定の壁として仕上げてくれた。
もともと整っていない柱、不規則な曲面に板をそろえるために板の根っこ部分を斜めに切り落とす、といったこれまた粋な技もここには見受けられる。



さて、本日のお題に見合った、これぞ粋、と思えたのは次の例である。ベランダの手すりである。

よーく目をこらしてみると、斜め手前に傾いていることがわかる。おそらく寄りかかったときに前に滑りださず、ここちよく立って構えられるという配慮か?

0 件のコメント: