2009年5月25日月曜日

壁、再び

壁がさらに形作られてきた。

断熱材のネオマフォームの位置関係からすると構造的には内断熱ではあるが、むしろ「考え方」は外断熱に近い、というのが設計士のMirror man氏の談である。

内断熱=充填断熱
外断熱=外張り断熱

ということで、構造的には確かに外壁と内壁の間に断熱材を入れるので我が家は内断熱。ところが外断熱では外側に「隙間なく」断熱材を施すことと同時に、壁内部に空洞をつくり、空気層を生かすことと、というのが特徴であることから我が家のように壁内部にも空気層を設けているので外断熱の構造を一部採り上げている、とも言える。

さて外部からみた壁は、左官壁仕上げの土台たる木摺りがほぼ完了したが、内部からみた壁には石膏ボードが張られ始めた。

吉野石膏の不燃タイガーボード、である。カッターナイフでチューっと切って、特別な大根おろしで、ジョリジョリと仕上げればあとはボルトで壁の下地に留めればよい。石膏ボードは中に結晶水が含まれていることで燃えたときに21%も含まれるその水が水蒸気化することで防火の機能があるらしい。このようにして張られていく。

2009年5月20日水曜日

壁の構造

その後、腰は徐々に回復をみせ普段の生活では支障がない状態に戻ってきた。朝の現場通いを復活させ少しずつ写真を撮ったので、現状を報告しておきたい。

気がつかないこともないが、しかしわずかずつの進展はある。外観と内観の壁に関することが最近の目立った進捗である。外観はこんな感じである。「木摺り(きずり)」とよばれる板が外側に、水平に打ちつけられている。



  • 厚さ5mm、幅36mmの杉板を1cm弱の間隔

というのが木摺りの用法らしい。塗り壁工法の下地である。そもそもは洋風建築からやってきたようだ。内側はというと

このように、断熱材がはめ込まれてきた。ここまで書くと明らかなように、もともとの蔵の構造では壁は真壁構造(しんかべこうぞう)である。真壁は壁から柱が露出する構造のことだが、この壁は漆喰、もしくは土壁がオリジナルであった。もとの様子はこんな感じである。

もともとの蔵の壁の厚みを伺い知るにはあまり残された写真が少ないのだが、こんな感じであった。これがもともとの出入り口の一つであったらしい。重厚である。

さすがにこの扉だと毎朝出かけるときと、毎晩帰ってきたときに開け閉めするのが大変すぎる。扉に万が一挟まれたら命にかかわりそうだ。これは冗談だが、外側のこの重厚な蔵の漆喰扉の奥には、蔵の大戸、そして網戸、があったことから、玄関には大戸を利用することになっている。

話が脱線したが、目下の興味は断熱材である。予算の都合上当初は、「ネオマフォーム」ではなく別の断熱材のはずだったが、旭化成のネオマフォームと相成った。


調べてみるとこのネオマフォーム、フェノール樹脂から作られた高性能断熱素材、ということになっている。ココに情報が載っている。木造建築用の用途では我が家のように内張り断熱、ではなく「外張り断熱工法」が旭化成では掲載されている。今一度、我が家の内断熱の利点をMirror man氏に確認しておこう。木造建築の場合、そもそも外断熱も内断熱もあまり大差ない、とはどこでも書かれているようだ。

2009年5月15日金曜日

ぎっくり腰

である、小生。

このところかれこれ、3週間ほどもブログ更新を怠っていたがGW突入前の4月26日夜、翌朝からの北海道出張を控えて、そろそろ家に戻ろうかなとオフィスの椅子から隣の椅子の上においた書類に手を伸ばした瞬間に、「ぎっくり」である。久しぶりのこの感触、しかも重いものを持つわけでもなく、立ち上がった瞬間でもなく、痛いというより情けない。20年ぶりに函館の地を踏むということで意気揚々だったのが、気分は撃沈である。27日の仕事を終えてホテルで寝込んでしまった。翌日も飛行機の時間まではホテルに頼み込んで寝込む始末であり、一歩も外に出ずというありさまだった。ということで、動くのが億劫でもあり、GWは自宅でずっと過ごした。大工さんの仕事もGWはお休みということもあり、ちょうどよかったのかもしれない。

しかしこのブログを書き始めた際にも述べたが、ブログってのは続けることに意味があるのだろうが、続ける意欲を維持するのは大変である。朝のウォーキングのようなものである。一旦すやすやと二度寝することを覚えると、もうウォーキングなど出来やしないのと同じであろう。そういう私は朝のウォーキングなどしたこともない。学生時代10数年続けた朝練から以降は早起きは苦手である。

さて、自宅はといえば猛烈な勢いでこの私の怠惰な生活のなかで進行した。列挙してみると時間的な経過はやや前後したりするが、

  • 破風板に塗装がされ

  • ロフトが完成し

  • 床暖房パネルが敷き詰められ、二階床板が張られ

  • 階段が出来、

  • 外壁には木ずりが張られ

  • キマドが入り

  • 薪ストーブの煙突が施工され



あっという間にここまでである。見どころはやはり、「キマド」である。妻のたっての願いでこのキマドにはこだわった。あいにく11日(月)のキマド搬入は仕事で見に行くことが出来なかった。設計士のMirror manさんの撮影写真をもって知ることができた。





正直、実際の家に使われているところ、しかも新品を見たことがなかったので、半信半疑でその美しさを疑っていたが、実物を見てみるとなかなかのものである。色合いは我が家の漆の柱にぴったりの気がしている。どかーんと開けてベランダとダイニングが一体になる様子が想像できる、早く住んでみたいなあと思える。

キマドよりも一足早く、床暖房パネルが敷き詰められて、その上に床暖房対応フローリング床板が敷き詰められた。


床暖房は、O設計室との付き合いも長い、SEEDである。施工方法はポリエチレン管を敷き詰めるが一筆書きで床暖房パネルを敷き詰め、その途中にジョイントがないことが特徴である。床暖房は施工後に、フローリングが敷かれるために、誤って釘で穴をあけてしまうこともある。SEEDの場合これを突き止めるために面白い、ちょっとしたアイデアを持っており、これは社長さんに実際に見せてもらって納得した。空気圧をかけることで漏れを計測し、漏れがある場合には磁石を中に流して場所を特定する、といった具合である。これはなかなか面白いと思った。弱点は、一旦釘でうたれて出来てしまった穴が釘が抜かれてしまって、あるいはかすってしまって、磁石がすり抜けた場合である。管のなかに釘が打ち込まれて磁石が通過出来ない場合には場所特定が可能である。管に抱き合わせて光ファイバーケーブルを這わせてあげれば損傷個所が特定できるが、金がかかりすぎるだろう、などと考えた。

階段は「くさび」で踏み板が打ち込まれる、ってことを知っている人はいるだろうか?私は正直感心した。


しっかりとかみ合わせるには、さぞきっちりと作るんだろうと思っていたが予想とは違って、甘く作っておいて後でくさびで動かなくする、っていうのはずいぶんと理にかなっている。この階段はかれこれ1週間ほどかけているが、非常によいものに仕上がってくれているみたいだ。

キッチンの施工は、plotsさんにお願いしたことは既に書いたが、最終的にキッチンの塊をどんな色にするのか?は現場での色合わせで決める。

さて、どの色にしたでしょうか?というのがクイズである。これはキッチンが搬入されるまでのお楽しみにして取っておきたい。きっと素敵なキッチンを仕上げてくれると信じている。

昨日は煙突工事が終了しているはずで、これは薪ストーブの煙突となる。薪ストーブは妻のキマドと同様に、私のこだわりである。うちの家は今流行りのオール電化とは縁遠い。すべて火を使うことにしててガスレンジ、ガスによる給湯、それに床暖房専用ガスボイラー、である。薪ストーブはほんとに火を扱う。火を扱う、というのは私のこだわりである。

そもそもサルからヒトになる過程で二足歩行やいろんな機能を獲得してきたが、なかでも火を扱える動物はヒトだけである。小学校の理科では二足歩行はヒトだけよ、と教えるが真っ赤なウソである。鳥は全部二足歩行だし、恐竜だって二足歩行だったし、猿回しのサルも、チンパンジーと似て非なるボノボも二足歩行が出来る。しかし火は扱えない。一言で言ってしまうと、火を扱えない、怖がらないというのでは人間終わりだと思うわけである。オール電化は電気があって初めてお湯も沸かせるし、暖房も機能するが、災害時・停電時は無力である。都市ガスが引かれてない田舎の地域であるので、プロパンガスではコストがかかるのだが、あえてガスにした。

火が熱いって知ってて、火を熾すことが出来る子供に育てたい、というのが私の信念。